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ROEは、4.3%のままである。
ただ、新しい持ち主は、この喫茶店を手に入れるために600万円を支払っている。
彼にとっての利益率は3.6%に過ぎない。
会社の内容にまったく変化はないままで、元の持ち主に差額を払って会社を高く買う人が現れたのだ。
これこそ、株が値上がりする、ということである。
株価が上昇しても、直接、会社の財産が増えるわけではないことにくれぐれも注意していただきたい。
公開企業の株式は、この喫茶店の500万円の資本金が一口5万円で100口に小分けされて、自由に売買されているようなものである。
しかも、よく調べたうえで、この喫茶店は600万円で買っても十分採算が取れると冷静に考えて買うような人は少ない。
「6万円で買った一口が、6万5000円で売れればラッキー」という程度の考えで売買に参加する人がほとんどであるが会社が設立されたとき、株価は5万円で、株主の財産も5万円である。
しかし、企業が公開されて市場で株価が決まるようになると、株主の財産は5万円のままでも、株価は上がったり、下がったりする。
ROEは、株主の財産T資本金)に対する利益率である。
資本金を拠出した設立時の株主にもう一度、喫茶店の例で整理してみよう。
500万円の資本金、年間3万5000円の利益。
これは、誰にとっても不変の数字である。
この喫茶店は、年に4.3%の利益をあげた。
ROEは、4.3%である。
500万円を投じてこの喫茶店を設立した元の持ち主は、年に4.3%の利益を得た。
この人にとって、投資の利回りはROEに等しい。
600万円を払って買い取った人にとって、投資の利回りROI(リターン・オン・インベストメント)は3.6%である。
これを、公開企業に当てはめてみる。
5万円の株価が6万円になり、時価総額・資本金はまったく増えない。
ROEは、4.3%のままである。
しかし、6万円で買った人にとって、ROIは3.6%に下がっている。
喫茶店の年間利益の12万5000円を100口で割った350円は、1株当りの利益(EPS)になる。
5万円は、その32.3倍。
6万円は、27.9倍である。
この倍数がPER(株価収益率)と呼ばれる。
PERは、株価を評価するうえで、もっとも基本となる指標である帳簿上の株主資本は500万円である。
この500万円の意味をもう少し考えてみよう。
喫茶店の営業をやめて、所有する資産をすべて売り払い、銀行と友人に借金を返すと、帳簿の上では500万円が残る、という意味である。
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